ゼロ・サウンド・テクスチャー

ゼロ年代中期のエレクトロニカ・アルバムの100作レビュー。

ゼロ・サウンド・テクスチャー/第3回

●今回で3回目なので、これで30枚目。全体の約3割ですね(計100枚を目指しています・笑)。

==
[CD]Fennesz&Sakamoto『sala santa cecilia』

Sala Santa Cecilia

Sala Santa Cecilia

のちの『Cendre』(06)のようなピアノ+電子音響作品ではなく、19分1曲の電子音響デュオ作品。楽曲全体に満ちた即興性が独特の波を生み、二人の音響を融解させている。後半に巻き起こる電子音響の渦が圧倒的。05年リリース。


[CD]Ethan Rose『Ceiling Songs』

Ceiling Songs

Ceiling Songs

人気のイーサン・ローズ、1st。ローカストより05年にアナログ盤500枚限定でリリースされた作品を、日本のheadzが06年にCD化。長尺の楽曲の中で、音の風景と質感が緩やかに変化していく。機械と温もりと未来と過去の記憶の交錯


[CD]KTL『KTL』

Ktl

Ktl

PITAことPETER REHBERGとSUN O)))のSTEPHEN O'MALLEによるユニット。現在3作目までをリリースしているが、本盤はその1st。ダーク・アンビエント・電子音響・ハード・コア・ドローンの饗宴。Editions Megoより06年リリース。


[CD]North Sea & Rameses III『Night Of The Ankou』

Night of the Ankou (Rmx)

Night of the Ankou (Rmx)

Typeからリリースの06年作品。その名の通りNorth SeaとRameses IIIのコラボレーション作品だ。幽玄な持続音が鳴り、聴く者を凍らせるドローン&サイケ作品。アルバムタイトル通りの「暗黒」な音の連鎖。


[CD]Tuk『Shallow Water Blackout』

ベルギーのアーティストの2nd。フェネス直系の電子音響作品だが、時間と層の捉え方が独特だ。ノイズとグリッチの霧の中から、幾つものサンプルが現われては消えていく。この融解するような持続感は、今聞くとかなり良い。06年の隠れた名盤。


[CD]Tu M'『Fragile Touch Of The Coincidence』

イタリアのデュオによるギターとエレクトロニクスによるポスト・フェネス的な作品。幾層もの電子音がサウンドを彩るが、最終的にギターの音響にフォーカスが当たっているように思う。ともあれ傑作。06年。ヘッズ傘下ex-po。


[CD]erikm (luc ferrari)& thomas lehn『les protorythmiques』

体調不良のフェラーリに変わり、トーマス・レンが代打した競演盤。晩年のフェラーリの素材を使い独自の時間を生成するerikmと、レンのアナログ・シンセ。音響造形。room40よりリリース。07年。


[CD]FOR BARRY RAY『NeW DAYS』

New Days

New Days

ドローンからフリージャズ風のサウンド、フィードバックギターのノイズ、管楽器の響き、そしてミニマルなピアノ曲。07年にroom40よりリリースされた夫婦デュオのアルバム。素朴さと自由と、エクスペリメンタルなサウンドが詰まっている一枚。


[CD+DVD]Pretty Boy Crossover『We Are All Drifting』

We Are All Drifting

We Are All Drifting

オーストラリアのエレクトロニカ・ユニットの07年作品。スペインの映像作家Julien Sotoによる映像を収めたDVDとの2枚組。テクノの残滓のあるフェネス系電子音響作品。薄いビートは悪くない。


[CD]Ran Slavin『The Wayward Regional Transmissions』

イスラエルran slavinによる07年作品。中東の伝統音楽にデジタル・プロセッシングを施した電子音響作品。硬めの音響処理によって、シタールなどの楽器と電子音響が交錯していく。