ゼロ・サウンド・テクスチャー

ゼロ年代中期のエレクトロニカ・アルバムの100作レビュー。

ゼロ・サウンド・テクスチャー/第7回

●今回で70枚目。ノン・テーマで纏めてみました。

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[CD]ACUSTIC『Welcome』

Welcome

Welcome

デンマークのRumpよりリリース。あのOpiateのMixCDにも収録されたJesper Skaaningの3rd。細かいビートと柔らかい電子音によるメロディー、ほんの少しだけダビィな質感と、いかにも00年代中期なエレクトロニカIDM。05年。


[CD]Eliot Lipp『Tacoma Mockingbird』

Tacoma Mockingbird

Tacoma Mockingbird

いかにも80年代マナーの楽曲なのに、サウンドのテクスチャーにはミッドゼロ・エレクトロニカ的な質感も。とくにドラムの音色とタイミングの絶妙さと、コード進行のいわゆる80’s感。アップデートされた1985年。05年。


[CD]Dell & Flügel『Superstructure』

Alter EgoのRoman Flugelとヴィブラフォン奏者Christopher Dellのユニット。ハウシーなトラックだが、ポリリズムインプロヴィゼーションを取り入れ、ジャズを安易にクリシェ化してない。06年。


[CD]Kammerflimmer Kollektief『Remixed』

Remixed (Rmxs)

Remixed (Rmxs)

05年『Absencen』リミックス盤。Jan Jelinek、Radian、Aoki Takamasなどの豪華メンバーが参加し、原曲を絶妙に解体・再構築。まさにゼロ・サウンドテクスチャー・ショウケース。06年。


[CD]Miller & Fiam『Modern Romance』

オーストラリアのマイクロハウス・アーティストMillerと、Fiamよるエレクトロニカ・ポストロック・ユニット。生楽器と電子音が融合した、少し捻じれたオーガニック・サウンドは悪くない。00年代的裏ウラ名盤(の一枚)。06年。


[CD]Milosh『Meme』

Meme (Dig)

Meme (Dig)

細かいリズムに、密やかなグリッチ・ノイズ、そしてシルキーなボーカル。ドリーミーなメロディーと心地よく響くサウンド。この少し哀愁と慎ましいセンチメンタル。これぞまさにエレクトロニカ・ポップ。近年の高橋幸宏作品、pupaのアルバムなどがお好きな方にぜひ。06年。


[CD]Secai『Mammoth』

NSDこと並木大典とDASMANこと比留間毅による二人組ユニット。30分一曲入魂、マンモスのごとき巨大なサウンド・ダブ絵巻。荒野をゆっくり悠然と進むような時間を超越したような響きと、時間感覚がスープのように融解していくような感覚が堪らない。06年。


[CD]COH『Strings』

Strings

Strings

ラスター・ノートンのエンジニアであるCOH、その07年作品。グリッチな作品から、ピアノやギターなどの楽器を取り入れた色彩豊かな音楽へと変化してきた時期の作品。アルバム名とおりにギター(弦)を多用しているが、作品の芯には音響への繊細な感性が息づいている。


[CD]Proswell『Bruxist Frog』

Bruxist Frog

Bruxist Frog

エレクトロニカIDMレーベルMerkのラスト・リリース。柔らかい音色に、牧歌的なノスタルジックなメロディー、細かいエレクトロニクスとビートがレイヤーされ、いかにも00年代的なIDMな音が展開していく。あの時代のノスタルジア。07年。


[CD]Renfro『Mathematics』

Mathematics

Mathematics

イギリス・ロンドンの二人組ユニット。芯の強い、ややグリッチなエレクトロ・サウンドに、シルキーなボーカルがのったエレクトロニカ・ポップ。何よりもメロディーが素晴らしいのだ。マスタリングはKramerで音質も良い。まさに隠れた傑作。08年。