ゼロ・サウンド・テクスチャー

ゼロ年代中期のエレクトロニカ・アルバムの100作レビュー。

ゼロ・サウンド・テクスチャー/第2回

●また、ツイッターの方で「00年代中期の(エレクトロニカ)ディスク・レビュー」を10本ほど上げましたので、ここに纏めます。やはり「10本たまったら纏めて上げる」方式で行こう。100枚を目指します(予定・笑)。

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[CD]Daedelus 『Exquisite Corpse』

Exquisite Corpse

Exquisite Corpse

Daedelusが05年にNinja Tuneからリリースしたアルバム。モンドなサンプルにエレクトロニカ経由のサウンドと変則ビートが絡み合い耳をくすぐる。「ゴレンジャー」のサンプルに仰天。幼少期の妄想のようなサウンド


[CD]Darkel『Darkel』

Darkel

Darkel

AirのJB Dunckelによるソロ。エレクトロニクスの甘いベールに包まれた1960年代後半的サイケポップとちょっとの80年代的ポップ・フレーバー。夢みるように漂うボーカル&メロディーと柔らかい電子音が心地良い。とてもパーソナルな作風。06年。


[CD]PolaPola Meets Lyrica』

05年作品。「00年代=ゼロ年代」の転換期に登場したセカイ系トロニカ。ジャケとコンセプトとライナーは鉄壁の意思で統一されているが、音は極めて精密かつ高品質なフロア経由のエレクトロニカという異質さこそが重要だ。05年作品。


[CD]Safety Scissors『Tainted Lunch』

Tainted Lunch

Tainted Lunch

05年にscapeからリリースされた2nd。ニューウェイブからファンク、フレンチポップまで、クリック系を経由したエレクトロニカ・ポップのフルコースのランチ。でも、この人、キモはビートのリズム感だろう。どこか細野さんみたい。


[CD]Static『Re: Talking About Memories』

Re: Talking About Memories

Re: Talking About Memories

05年リリースの3rd。かっちりしたビートに、柔らかな電子音。エレクトロになるちょっと前のさじ加減で、エレクトロニカなインディー・ポップ/ロックになっている点が良い。あのRonald Lippokがゲスト参加。ファニーなジャケも良い。


[CD]Jodi Cave『Carbon Series Volume 4』

12KからもリリースするJodi Caveの07年作品。これがデビュー作か?適度なノイズと重層的な音響、楽器と旋律など、まさに00年代中期エレクトロニカの典型的な音。だが、どこかそこに収まりきれない過剰な点も。


[CD]Move D + Benjamin Brunn『Let's Call It A Day』

Move Dはハズレがない。ミニマルでダビィでアンビエント。美しい音像に適度に重い低音が心地よく響く。音響的/エレクトロニカ的な繊細さを兼ね備えた、00年代テクノの隠れ名盤。07年リリース。


[CD]Textual『Dirty South Still Life』

フロリダのアングラ・ヒップホップ・レーベルより。とはいえ音は00年代中期IDMエレクトロニカグリッチなトラックと電子音が耳をくすぐる。いかにもヒップホップなジャジーなエレピも良い。Machinedrum のリミックスも収録。07年の隠れ名盤。


[CD]Victor Bermon『Arriving At Night』

Arriving at Night

Arriving at Night

07年にheftyより。miller & fiam、harry hohnenのソロ。エレクトロニカでポストロック。ジャジーにしてアンビエント。トラック中に聴こえる薄い持続音は08年以降のドローンの時代の予兆か?個人的には何故か執着してしまう不思議な作品。


[CD]Autistici『Volume Objects』

Volume Objects

Volume Objects

冷房の利いた部屋から、窓ガラスごしに、真夏の世界を見る感覚。テーブルの上の、グラスの氷がはじけるようなカラカラコロコロした音響。涼しげなドローン。まさにノスタルジックなエレクトロニカの秀作。12K。08年リリース。